「どうすれば働きやすくなるのか」「やりがいを持って仕事に取り組めるのか」。社員の声を聞き、QBハウスの人事・教育分野をよりよいものにしようと取り組んでいる、事業推進本部・江藤 貴祥さん。
前回は、「カット未経験でも、もう一度理美容業界と関わりを持ちたい」という願いを持つ人たちの可能性を活かしたいという想いから始まったロジスカットスクールについてお話を伺いました。
第2回はどのように社員間のコミュニケーションを育み、信頼関係を築いているのかなどをお聞きし、QBハウスの「仲間との信頼関係づくり」について紐解いていきます。
「理・美容業界を目指す人たちの受け皿になりたい」
事業推進本部 本部長・江藤 貴祥さんvol.1
2004年に入社し、今年で19年目となる江藤さん。もともとはスタイリストとして入社しましたが、2011年ごろから人事や教育に関わる業務に携わるようになりました。当時はロジスカットスクールのような研修制度はなく、カット経験がある人のみを採用していました。
「ロジスをスタートしようとしたきっかけの一つが、カット未経験の方からの応募が多かったからなんですよ。それも年間で200人ぐらい。でも当時はカット経験者しか採用していなかったので、全てお断りしてたんです。ただ電話やメールだけでお断りするのは申し訳ないと思い、せめて話を聞いてお断りすることにしました」
応募者のほとんどが「国家試験を取得して理美容室に入ったけど、カットを習得せずにやめてしまった」という人たちでした。
しばらく業界を離れていたけど、やはり国家資格をいかしたい。もう一度、理美容師として活躍したい。
そう思っても、一般の理美容室ではアシスタント業務からスタートしなくてはなりません。「だからカット技術に特化したQBハウスで働きたいと思い、応募しました」と言われました。
「30歳手前ぐらいで、年下の先輩の元でもう一度シャンプーからやらなきゃいけないと思うと、なかなか理美容業界に戻れないですよね。そういった想いを聞いて気持ちを汲んであげたかった。業界から理美容師は確実に減っていっているのに、カット未経験の方を採用しないのは本当に正しいことなのかと思うようになりました」
次第にQBハウスは店舗数が増え、売り上げも上がっていきます。そこで「もう一度理美容業界を目指す人たちの受け皿になりたい」とロジスカットスクールをスタート。未経験者でもカットの技術を1から学べる仕組みを整えます。目指したのは、途中で離脱しないカリキュラム。これは、海外の支店でスタイリストを育成する際にヒントを得てつくられたのだそう。
「当時、シンガポールや香港などへ出店がスタートしたため、私は育成担当として現地で指導にあたりました。私は英語も中国語も喋れないので、通訳をつけて説明していたんですね。しかし通訳の方に理美容の専門用語を話してもわかるはずがなく、『どういう意味ですか?』と聞き返されるわけです。そういう繰り返しの中で専門用語を使わずに、どんな人も理解できるように話す大切さを学びました」
カットを感覚ではなく「切り方」と「理論」に基づき、ロジカルに説明すること。海外の技術指導を通じて、伝えるポイントを明確にしていき、この経験をもとにロジスカットスクールの基礎をつくっていきました。
「技術職は『見て覚えて』『考えてやって』と言われることも多く、何が正解なのかわかりづらい。勘がいい人はいいですが、そうではない人たちは技術を習得するのにとても時間がかかってしまい、やる気があっても離脱してしまう。ここまで経験したことをきちんと言葉にして伝えていくことができれば、より多くの人が技術を習得し、早くひとり立ちできるのではないかと考えたのです」
そうした行いが功を奏して、現在では年間約70名の人がロジスカットスクールを受講し、スタイリストとしてデビューしています。実際に受講した方からは、「細かく丁寧に教えてもらえる」「評価基準にブレがなく、わかりやすい」という声も多く、未経験でも、何歳からでもカット技術を取得することができています。しかし「ロジスカットスクールはまだまだ未完成」と江藤さんは言います。東京(渋谷)、大阪、愛知(名古屋)、宮城(仙台)、福岡(天神)、広島の6拠点まで増えたロジスカットスクール。よりわかりやすく、どんな人でもカットを諦めずにすむために。これからも、QBハウスの技術は進化し続けていきます。
次回は引き続き、江藤 貴祥さんにお話を伺い、「仲間との信頼関係づくり」についてお伝えします。