2024年も12月に入り残り少なくなりました。私たちが関わる理美容業界においても様々な出来事がありました。今月は2回にわたり、2024年の振り返りの記事を投稿したいと思います。まず、1回目としてリクルートの観点から理美容業界の雇用環境や教育における変化についてまとめたいと思います。
人材市場における傾向
2024年、日本全体の人材市場では、少子高齢化や働き方改革の進歩により変化が見られました。特に人手不足が深刻化する中、企業は多様な働き方改革のために柔軟な雇用形態を導入し、本ブログ記事でも取り上げたように、リスキリングやスキルアップ支援にも力を入れるようになりました。また最低賃金がさらに上昇し(下記リンク参照)企業にとっての人件費の増加というリスクをもたらしました。
特に小規模事業者や理美容業界のように人の手を多く必要とする業界では経営負担が大きくなり、価格改定やコスト削減の必要性に迫られました。その一方、労働者にとってはより高い給与を得るチャンスが増え、求人の魅力が増える事にも繋がっています。
https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/001297510.pdf
理美容業界における変化
1.柔軟な雇用形態
理美容業界においても柔軟な雇用形態を導入する企業が増えてきました。深刻な人手不足に対応するために育児や介護などの理由でフルタイム勤務が難しい人々にとって、パートタイムやフレックスタイム制度を提供する企業が増えています。また正社員以外に、業務委託契約、FC制度導入による社内独立など、従業員のライフスタイルに応じて対応する企業が増えています。
2.初任給の上昇
2024年、47都道府県で最低賃金は50〜84円引き上げられ、全国平均額は1,055円となりました。 昨年度の1,004円から51円の引き上げ幅は、過去最高額とのことです。 それに伴い、美容業界でも初任給が上昇しました。よく、理美容業界は一般企業に比較すると給料が少ないと指摘されていましたが、現在では一般企業に引けを取らない給与水準になっています。
<QBハウスの場合>
QBハウスの場合も2024年9月より給与改定があり昇給しました。カット未経験で入社される方は、社内カットスクール「ロジスカット」での配属になりますが、研修中の給与は下記表の通りです。ロジスカットだけではなく、スタッフ全体でも直近2年間で12%アップしています。
※募集要項の詳細はこちらのリンクからご確認ください。https://qb-recruit.com/qb-stylist/
3.福利厚生の充実
ここ数年の間に理美容業界の福利厚生が大きく改善され、求人のメリットや従業員の満足度向上に繋がっています。具体的には、休日や労働時間の柔軟化、業界特有の長時間労働の見直しが進み、労働環境が整備されました。また、給与体系の改善やボーナス、昇給制度が見直され、働きやすい職場づくりが強化されています。2024年では特に休日に関して、社員のプライベートを充実してもらおうという事で「推し活(※)休暇」を導入する企業が増えました。
(※)「推し活」とは、自分にとってイチオシの人やキャラクター(=推し)を、さまざまな形で応援する活動のこと。 推しの出ているライブやイベントを観に行ったり、グッズを買ったり、手作りのグッズを作ることもその活動の一部です。 一部調査では、今や20代〜50代女性の約5人に1人が「推し活」をしているそう。
4.教育の変化
アカデミー制度の充実
理美容業界の教育カリキュラムが改善され、営業時間後遅くまで練習をするのではなく、営業時間内に練習ができる事はもはや当たり前になりました。中でもアカデミー制度を充実させるサロンが増えました。アカデミー制度とは、入社したばかりのスタッフ(アシスタント)が集まり、昼間の時間を使い技術習得や接客のスキルを学べる制度のことです。
入社後一定期間、アカデミーで学びながらサロンワークを行う事が一般的です。技術を効率的に習得する事はもちろん、社会人としての自覚を持たせる、スムーズにサロンに溶け込み働けるようにする、早期離職を防止する、それらの目的もあるようです。
スタイリストデビューまでの期間短縮
アカデミー制度の充実もあり、スタイリストデビューまでの期間が短縮され、スタイリストデビューまで1年、もしくは1年半というサロンも増えました。早くお客様を主担当する事で仕事のやりがいを持たせる事が主な目的です。
また、カット、カラー、パーマなど全てのメニューができると「スタイリスト」といわれる事が一般的でしたが、現在はメンズカットができればスタイリスト、カラーができればカラーリスト、ヘアアレンジができればヘアアレンジリストなどとサロンによってその定義は様々になっています。
その他
従来の技術や接客が中心な指導に加え、SNSマーケティングやマネジメントなど、幅広い知識を提供するサロンも増えました。また、オンライン教育などの取り組みも広がり、自社の先輩だけに指導してもらうのではなく、自分が学びたい講師から学べる事により理美容業界全体のレベルアップを促進しています。
以上、理美容業界の2024年を雇用環境や教育における視点からまとめました。
次回は理美容業界の業態についてまとめたいと思います。
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