理美容業界にはカット、カラー、パーマなど基本的なヘアメニューをメインにした業態、トータルビューティーのサービスを扱う業態、専門的なメニューを扱う業態などいくつかの業態があります。その業態の中でも、カット専門店やヘアカラー専門店、髪質改善に特化したトリートメント専門店など、特定のサービスに特化したサロンが増加しています。一方、数人のスタッフを雇用するような地域密着型の小規模サロンは減少傾向にあります。その反面、店舗を持たず自由な働き方を選ぶフリーランスの理美容師が増えてきています。
今回のブログでは2024年振り返りとして、変わりつつある理美容業界の業態について説明したいと思います。
特化型サロンが増えた理由
生活スタイルにマッチ
特化型サロンが増えた背景には、忙しい現代人の生活スタイルにマッチしている点が挙げられるでしょう。特化型サロンは駅前やショッピングセンターの中など、便利な場所に立地しており、必要なサービスだけを短時間に受けられます。省時間、利便性に優れているといえるでしょう。また、価格が明瞭で一般の理美容室に比べると安価なため、節約志向の消費者にも支持されています。
他店との差別化
美容室の数は増え続け、現在は全国に約27万軒あり飽和状態と言われています。そこで他店との差別化をはかるために特化型サロンは増えて来ました。育成においてもその技術のみを習得すれば良いため、早く一人前になれる点もメリットでしょう。ブランクがある理美容師にとっても復帰しやすい環境といえます。
また特化型美容師という言葉も生まれ、カットやカラーをさらに細分化し、例えばショートカット専門、ハイトーンカラー専門などを強みとする美容師の発信も目立っています。
小規模サロンが減少した理由
理美容業界だけが世間より低水準な労働条件が許される時代ではなくなりました。労働条件の見直し、社会保険完備などのハードルは小規模サロンには高く、数少ない従業員もより条件の良いサロンへ転職してしまいます。そこで人手不足となり、小規模な理美容室では経営が厳しくなりつつあります。
ひと昔前は「一国一城の主」として経営者になる事を目指して理美容業界に入ってきた人が大半でした。その結果店舗も増え続けています。しかし、現在は人を雇用する事のハードルが上がり経営者を目指す人も減少しているようです。独立するとしても、その形態はオーナー個人店、もしくは夫婦など家族だけの小規模店が多くなっています。さらに店舗を保有せずに独立して働くフリーランス理美容師、業務委託理美容師といわれる個人事業主で働く理美容師が増えています。
フリーランス美容師が増加した理由
フリーランス美容師が増えた背景には、働く場を提供してくれるシェアサロンの増加、SNSで効果的な集客ができるようになったことがあります。独立する前の準備段階としてシェアサロンを活用している美容師も少なくないといいます。
また働き方改革の一つにダブルワークがありますが、前述した完全予約制の個人店やフリーランス理美容師という働き方は予約時間以外に他の仕事をするなどダブルワークにも対応しやすい働き方といえます。
企業サロンの可能性
前の記事で給料や福利厚生・教育の充実について説明しましたが、これらに対応できているのは一定規模の企業サロン(株式会社として正社員雇用を主体に経営)です。その中には弊社のようなカット特化型サロンも含まれます。賃金の上昇、働き方に対する要望は今後も続いていく事でしょう。また直前に迫った2025年問題(※)もあります。それらの変化に対応し事業を推進、成長していく事は、私たち企業サロンの使命だと思います。また、企業サロンでないと対応は困難でしょう。そういう意味で今後、理美容業界は、一定以上の正社員を雇用し経営していく企業サロンか、個人サロンかの2極化が進むのではないかと思われます。
以上、変わる理美容業界の業態について説明しました。今後も業態は時代に合わせて変化していくでしょう。しかし、理容師・美容師の仕事の本質は変わりません。髪を通じてお客様を幸せにできる非常にやりがいのある職業です。また、ヘアスタイルはおしゃれにも通じるため若者からの人気も得られる職業です。
今後も人気分野、人気職種であり続けるよう、私たち理美容業界に関わる企業はしっかりとこの仕事の素晴らしさを発信し続けたいと思います。
2025年もQBハウスリクルートコラムをご愛読くださいますよう、お願いいたします。
※2025年問題についてはこちらの記事をお読みください
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