今回は、美容師を目指して学んでいる、あるいは将来開業・独立を考えている皆さんにぜひ知っておいていただきたい、「理美容室の開業件数」に関する最新の業界データをご紹介します。将来は自分のお店を持ちたいと考えている方も多いと思いますが、今、独立の形は少しずつ変化してきており、「お店を持つ」ことだけがゴールではなくなりつつあります。その背景には、働き方や価値観の多様化が影響しているようです。
開業件数が減少!その背景にある変化とは?
株式会社Review(レビュー)が発表した最新のレポートによると、2024年7〜9月期に全国で新たに開業した理美容室は1,518件でした。これは、前期(4〜6月期)の1,746件と比較して、228件の減少となっています。増え続けているというイメージのある理美容室ですが、この開業数の減少には、従来のように店舗を構えるのではなく、シェアサロンの活用やフリーランスとして活動するなど、店舗を持たずに働く美容師が増えているという背景があると見られています。これにより、独立開業のスタイルにも徐々に変化が現れてきているようです。
シェアサロンやフリーランスという選択
近年よく聞くようになった「シェアサロン」や「フリーランス美容師」。これは、自分で店舗を持たずに、他のサロンの空いている席を借りて働いたり、時間単位でスペースをシェアするスタイルです。
こうした働き方は、
・初期費用がかからない
・家賃や人件費のリスクが少ない
・自由な働き方ができる
などのメリットがあり、特に都市部ではこのスタイルが増えてきています。
実際、東京や大阪などの都心では、
・店舗の家賃が高い
・求人が厳しい
・人件費が年々高くなりスタッフを雇うのが大変
・サロンの数が多すぎて競争が激しい
という理由で「自分のサロンを持つ」ことが以前よりハードルの高いものになってきているのです。
地方では“地元密着型”の働き方が広がる
一方で、地方では「地元に根づいた小さなサロンを開く」というスタイルが注目されています。今回の調査でも、石川県や岐阜県、北海道、島根県などで開業数が増えているという結果が出ました。地方では、
・家賃が比較的安い
・顧客と長く付き合える
・ライバルが少ない
といった理由から、地元に密着したサロン経営がしやすい傾向にあります。地方出身の美容学生さんにとっては、地元で自分のサロンを持つという夢も、十分現実的な選択肢になるかもしれません。
地方における理容の注目
またこの調査における開業件数に関して、美容室(美容所)が1,387件に対し、理容室(理容所)は131件と、美容室の方が圧倒的に多いという結果でした。しかし、山梨県・青森県・徳島県・大分県などでは、なんと理容室の割合が20%以上も増加しています。地域によっては、昔ながらの理容スタイルが見直されていたり、「メンズ専門サロン」や「バーバー文化」が注目されているようです。理容と美容、どちらの道に進むかを考えるときには、こうした地域差やトレンドも意識してみるといいかもしれません。
独立=お店を出す?
その考え方をアップデートしよう
以前は「美容師として成功=自分のサロンを出す」という考え方が一般的でした。しかし、今は違います。
たとえば、
・SNSで集客するインフルエンサー美容師
・ライフスタイル重視で週3日だけ働く
・得意な分野の専門店で働く
・地方で地域密着型の一人サロン
など、働き方のバリエーションはどんどん増えています。つまり、美容師としてのキャリアの描き方も、もっと自由で多様なものになってきているのです。
美容師を目指すあなたに伝えたいこと
今回のニュースは、一見すると「開業件数が減っている」というネガティブな印象を受けるかもしれません。しかし実際には、美容師としての働き方の選択肢が広がっているという、前向きに捉えることができる変化でもあります。
将来「どのような美容師になりたいか」「どのような暮らしを送りたいか」を考えるうえで、必ずしも“自分のお店を構えること”がゴールとは限りません。ご自身のライフスタイルや価値観に合った働き方を見つけ、お客様に喜んでいただける技術やサービスを提供できる環境を、自分らしく選択してください。
このブログを愛読してくださる美容学生の皆さんにとっても、今回のようなデータは「未来を考えるヒント」になります。進路や将来の働き方に迷ったときには、ぜひこんな業界情報も参考にしてみてくださいね。
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