「研修あり」と言ってもその内容はピンきり。過去の応募者の前職退職理由で、「カットに自信がなかったので研修ありと記載されていたので応募し、面接でも研修希望を伝えて入社したものの、1日だけ本社でやり、あとは店舗の空き時間に店舗スタッフに見てもらってくださいと言われ、退職しました」という方がおられました。研修の有無の事実で言えば嘘ではないのかも知れませんが、その内容はこの方の望む研修内容ではなかったようです。そこで今回は、“新卒でも6ヶ月でスタイリストデビュー”と銘打つQBハウスが誇る研修プログラム「ロジスカット」の教育カリキュラムをご紹介いたします。
入社1ヶ月目
仙台・東京は奇数月、名古屋・大阪・福岡は偶数月の1日が入社日になります。入社日には社長の北野が直接、QBハウスの経営理念であったり、どのような心構えで研修を受けていって欲しいのかといった学ぶ姿勢の講義があり、次にロジスカットの校長より、具体的な研修の受け方であったりロジスカットの仕組みについて講義があります。もちろんQBハウスとは?であったりQBハウスの歴史といった内容もあります。座って講義を受ける授業形式が最初の1週間ほど続きます。ここで、美容室の技術を見て盗め方式や師弟関係という考え方から、組織人としての良好な人間関係の築き方という考え方のシフトチェンジをしていただくことになります。
入社月の半ばにさしかかると、お客様が入店してからお帰りになるまでの一連の流れをシミュレーションで学びます。ここでは接客の流れと好感の持たれる笑顔がポイントとなってきます。月の後半になると、美容室でいうシャンプー、QBハウスではエアウォッシャーという掃除機のようなホースで髪の毛を吸い上げるのですが、研修店舗で先輩がカットしたお客様を、先輩に代わってエアウォッシャーでお客様の髪の毛を吸い上げることをします。使い方をマスターしつつお客様にも徐々に慣れていきます。ウィッグでは学べない、力の入れ方や吸い上げる方向といった個人差を学んでいく意味も含まれています。
入社2ヶ月目
いよいよハサミを持っての練習がスタート。学校卒業後、ハサミを持ったこともないという人も多いですが劣等感も羞恥心も不要です。ハサミの持ち方、開閉の仕方から懇切丁寧にレクチャー。出来ないことを楽しく学んでいくことで、自身の成長ぶりを実感することができます。また多くの人数をカットしても身体に大きな負担にならない姿勢などもお伝えしていきます。そしてカット理論に基づいて、頭で理解しながら実技を行うことで誰もが無理なくワンレングス・グラデーション・レイヤー・すくい刈りを学んでいきます。
一方で接客研修を3回に分けて学んでいきます。1回目は1ヶ月目のエアウォッシャーで入客するとき。2回目は、この2ヶ月目で接客の基礎となるお客様との言葉使いやコミュニケーションのとり方・程よい距離感やトラブル発生時の対応なども学び、ここまでで接客の基本を学び終え、習得確認と応用編となる3回目は5ヶ月目に行ないます。
入社3ヶ月目
QBハウスではハサミとバリカンの両方を使ってカットを行なっています。そして効率的なヘアカットの真骨頂「バリカンワーク」が3ヶ月目よりスタート。ポイントは「角度」。バリカンを持つスタイリストの手首の角度とバリカンを頭に当てる角度。慣れるまで恐怖心があるかも知れませんが、回数を重ねて経験を積んでいきます。
基本となるレイヤーと2種類のバリカンワークが課題の入客テストに合格すると、研修店舗でのOJT研修がスタート。ついにお客様のヘアカットを担当していくことになり緊張しますが、常に指導担当のトレーナーが横に立って見守ってくれており、いざという時にはアドバイスや交代してくれるフォロー体制が出来ています。
入社4ヶ月目
この時期になるとロジスカットにもかなり慣れてきて、後から入ってきた後輩の授業を懐かしく思いながら、自身の成長に気付ける時期です。そんな頃にメンズスタイルの最終カリキュラムであるソフトモヒカンとスポーツ刈りを学びます。ソフトモヒカンはバリカンとセニングの使い方がポイント、スポーツ刈りは1ミリの世界。これらにツーブロックを含め、カット専門店のプライドと奥深さに新しい発見をする時期でもあります。この時期の気付きがさらなる成長を後押しします。
技術面ではブロッキング、バリカンの応用を学びます。もちろん、初月の入社時研修の振り返り研修も継続して行なわれます。
入社5ヶ月目
この頃になると、成長度合いに個人差が生まれてきますが、練習あるのみの日々となり、カリキュラムとして行なうのは接客研修がメインととなります。コミュニケーション力やケーススタデイ・ロールプレイングを中心に、実店舗に出れば遭遇するであろう、各種場面における対応を、ロールプレイング形式で学んでいきます。逆に言えば、ここをしっかり学ぶことで、同様のことが実店舗で起きた場合、あせらずこの研修どおりに動けば良いということです。一度経験しておけば、「デジャブだ!」という余裕すら出てくるでしょう。
引き続き、入社時の振り返り研修を行なっていきます。
入社6ヶ月目
ラストは、QBハウスでも2割ほどとなってきた女性のお客様への対応としてレディースカットのワンレングスを学びます。ショートと違う楽しさと同時にロングヘアーならではの髪の扱い方の難しさがあり、エアウォッシャーにも注意が必要です。
そしてこの6ヶ月間の総復習をした上で、お待ちかねの卒業検定です。もう少し研修を受けたい人は7ヶ月目にしても良いですし、強制ではありません。自分が納得し自信をもって挑めるタイミングで卒業検定を受けていただきます。70を超えるチェックポイントを複数のトレーナーと現場責任者である複数のマネージャーが採点、合格者には涙と笑顔の卒業式が待っています。
ちなみに不合格の場合は同じ労働条件で1ヶ月研修が伸び、次月の卒業検定を受けていただくことになります。こうした6ヶ月に渡った一連の研修が給与支給、残業手当、交通費全額支給、社会保険加入、研修費用無料といった恵まれた環境の中、終了します。
7ヶ月目以降は配属された各QBハウスの店舗での勤務がスタートしますが、その後、不安な箇所や苦手のスタイルを学びなおしたり、女性のスタイルのバリエーションを増やしていく月1回のフォロー研修がスタートし、ロジスを卒業して1年間続いていきます。
いかがでしたでしょうか。自社ながら細かくカリキュラムが設定されていると思いますが、それだけスタイリストの成長とお客様への安心感を大切にしていることの表れだと思います。1,2日研修をして後は現場でと言われるのは、無責任な話です。不安なままお客様をカットして失敗、本人はより不安になり退職、お客様はもう来店されないでしょう。オーナーがスタイリスト、お客様に向き合えていないということではないでしょうか。スタイリスト、お客様。ともに誠実に向き合いたいとQBハウスは常に考えています。
QBハウスでは、ロジスカットでの入学式、研修風景、卒業式などをInstagramで公開していますし、見学や研修体験会もこちらから随時受け付けています。是非ご覧ください。
Ranking
-
雑学・業界話題
理美容業界と2025年問題
-
雑学・業界話題
10年後になくなる仕事、なくならない仕事。理美容師の仕事は...