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今回は福利厚生について2回目になります。(前回のコラムは▼▼▼)

福利厚生について② (健康保険)

今回のコラムでは社会保険の中でも「健康保険」について取り上げます。

4月から会社へ就職された新社会人の皆様、新たに社会保険に加入、健康保険証(正式には健康保険被保険者証)を手にされた事と思います。医療機関にかかると健康保険証を病院の窓口に提出することで、医療費の一部を負担して必要な治療が受けられます。また近年ではマイナンバーカードが健康保険証として利用でき大変便利に使えるようになりました。

私たちの生活で非常に馴染みの多いこの制度について詳しく説明していきます。

健康保険とは

日本には「国民皆保険制度」といって、全国民が公的医療保険に加入して保険料を負担し合うことで、個人にかかる医療費を軽減するという制度があります。この制度の主なものが「健康保険」と「国民健康保険」です。この制度により現役世代では医療機関に受診した際にかかった費用の7割(※)を負担してもらえます。そして少しややこしいですが、社会保険といわれるのは前者の「健康保険」を指します。

※小学校入学までは2割負担。70~74歳は、2割~3割負担、75歳以上は、1割~2割負担(所得による)

健康保険と国民健康保険の違い

「健康保険」は、会社に勤務する正社員は加入が義務付けられ、個人ではなく会社を介して加入します。また、配偶者や3親等以内の親族も加入できる点が特徴です。健康保険の運営主体は「健康保険組合」と「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の2種類があります。中小企業の多くは協会けんぽに加入しています。また健康保険の事業を運営する者を「保険者」といい健康保険に加入している人を「被保険者」といいます。

「国民健康保険」とは、会社に勤めていないフリーランスや自営業など、健康保険やその他の医療保障制度に加入していない人を対象とした保険制度です。国民健康保険の運営は各都道府県が主体となって各市町村が行っています。

社会保険である健康保険のメリット

健康保険へ加入した場合のメリットは以下のとおりです。

① 会社が保険料を半額負担

健康保険料は会社が半額負担します。一方国民健康保険は全額自己負担です。

② 傷病手当金、出産手当制度がある

傷病手当金は、傷病が原因で休業し賃金が払われないときに受け取れる休業手当です。 出産手当金は、産前産後休業中に賃金が支払われないときに、健康保険から支給される休業手当(給付金)で、いずれも標準報酬月額(給料)を元に計算されます。※国民健康保険の場合はこれら手当の支給はありません。

③ 扶養制度がある

扶養制度があるため世帯における保険料額を抑えることができます。一方国民健康保険では扶養という概念がないため、家族全員が被保険者として加入する必要があります。

以上の事からも健康保険は国民健康保険より保障も手厚くメリットが多い制度だといえます。理美容師もフリーランスで働く人は国民健康保険になりますが、怪我や病気で仕事を長期間休まざるを得ない状況が来るかもしれません。そのような場合の保障がないため休業時の収入の減少には別の方法(貯蓄、就業不能保険など)で備える必要があるでしょう。

美容業界特有の健康保険

健康保険、国民健康保険とは異なる美容業界特有の健康保険について簡単に紹介します。加入条件や保障内容に違いもありますのでそれぞれのホームページを紹介しておきます。

・全日本理美容健康保険組合(通称「理容けんぽ」)

https://www.ribi-kenpo.com/

・東京美容国民健康保険組合(通称「美容国保」)

https://kokuho-tokyobiyo.or.jp/

・大阪府整容国民健康保険組合(通称「整容国保」)
http://www.seiyo-kokuho.com/

なお、「理容けんぽ」は社会保険としての健康保険扱いですが、他の2つに関しては国民健康保険扱いとなります。そのため求人票を見る際に注意が必要です。

まとめ

以上、健康保険について説明しました。日本は世界でも最先端の医療水準を誇る国の一つです。高度な医療を安い費用で受けられるのは国民皆保険制度のおかげです。

しかし日本の国民皆保険制度は1961年の制度開始から長い年月が経ち、課題も抱えています。少子化により、健康保険料を納める働き手が少なくなる一方で、高齢になるほど医療機関を利用する機会が増えるため、医療費給付が増えているという問題があります。制度を維持するためには、収入と支出のバランスを改善する必要があり、色々な対策が講じられています。

 

次回のブログでは「厚生年金」について詳しく説明していきます。

福利厚生について③(厚生年金)

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