国内でトレーナーとして経験を積み、海外へ

QBHOUSE 香港　トレーナー 小林 美絵子さん

実は、QBHOUSEを一度退社している小林さん。友人の美容室を手伝うために退社しますが、数年後にその美容室は閉店してしまいます。行先を迷っている小林さんに、当時のマネージャーが「戻ってきたら」と声をかけてくれたのだそう。

「マネージャーとは辞めた後も仲良くしていたので、仕事について相談していたんです。そしたら戻ってきたらって言ってくれて。辞めて戻ったけれど特に気まずさもないし、むしろ勝手がわかっていたので働きやすかったですね」

その当時は、トレーナーになりたいという気持ちも、ましてや海外に行こうという考えも全く持っていなかったと話す小林さん。ある日、当時の上司から「台湾にQBHOUSEができるんだけど、興味ある？」と聞かれたことが、小林さんの人生を大きく変えました。

「その話を聞いた瞬間、海外で働くのって面白そうだなって思ったんです。他の国の方が美容師としてどんな風に働いてるのか、どんな美容の技術があるんだろうと想像して、現地でそれを体感してみたいという気持ちが湧いてきたんです。海外に行くには、トレーナーとしてのスキルが必要でしたので、トレーナーになるための練習や勉強を始めました」

その後は、国内のロジスカットスクールでトレーナーとして活躍します。

「国内でトレーナーとして経験を積んだことがとても良い経験になりました。それまで人に教えることがなかったので、最初ははさみを持ったことがない未経験者にも、技術者目線で話してしまって伝わらなかったり。覚え方も理解の速さも人それぞれ違うことを理解できたし、それぞれに合わせたアプローチを学びました。この経験がない状態で香港に行っていたら、もっと大変だったんじゃないかな」

一生懸命頑張る気持ちに応えたい

国内で4年ほどトレーナーとして経験を積んだ後、念願の海外へ。面談の度に、「海外に行きたい」という気持ちを伝え続けていたのだそうです。

香港に赴任して、特に大変だったのは言葉。身振り手振りで懸命にカットを教える日々を過ごします。

「香港では理美容の免許が必要ないので、私たちが教えるのは一度もハサミを持ったことがない方ばかり。ハサミの持ち方からのスタートです。実際に切ってみせたり、絵を書いて説明したり、言葉以外のコミュニケーションを用いてなんとか伝わるように工夫しました」

ちょうどコロナ禍だったこともあり、中には職を失ってQBHOUSEに応募したという方も。

「先行きが不透明な状況でしたから、手に職があれば困らないだろうと応募した方もいました。みんな一生懸命練習したり、わからないことは積極的に質問したりしてくれて。技術を習得しようと頑張る姿は、国籍も年齢も変わらず、みんな一生懸命。だからこそ、私もそれに応えられるトレーナーでいたいんですよね」

香港はまた湿気が多く雨も多い気候のため、短いヘアカットを求めるお客様が多いとのこと。そのため、QBHOUSEが培ったバリカンを使って短く素早くカットする技術は、香港の風土に適しているそうです。小林さんはこうしたQB独自の技術を丁寧に、わかりやすく伝え、多くの技術者を育ててきました。

「香港では子どもはシッターや祖父母に預けて、働きに出るのが当たり前。セカンドキャリアとして美容師を目指したいという30〜40代の女性の方の応募が多いんです。ただ、離職に対してあまりマイナスなイメージがないので、合わないと思うとすぐに辞めてしまう。今後は離職者をどうやって減らしていけるかが課題ですね」

香港に渡っておよそ２年半。ようやくコロナも落ち着き始めて、まさにこれからという時です。今後の小林さんの活躍に期待が募ります。