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海外での店舗展開も積極的に行っている、QBHOUSE。2002年のシンガポール出店を皮切りに、香港(2005年)と台湾(2012年)に出店しています。また、2017年6月には、欧米初進出1号店として、「MIDTOWN EAST店」をニューヨークのグランドセントラル駅近くにオープン。海外店舗数は、4カ国計129店舗(2022年6月)となっています。

今回お話を伺ったのは、アメリカ・ニューヨークで勤務する河野順弥さん。日本から香港へ渡り、現在はニューヨークで活躍しています。海外の店舗で働いて得た経験、そして海外でも通用するQBHOUSEの強みについて、お聞きしました。

 

文化の違いに四苦八苦した、海外スタッフへのトレーニング

QBHOUSE USA 河野順弥さん

 

河野さんが、QBHOUSEに入社したのは14年前。将来は自分の店を持つという夢を持ち、メンズカットの技術を高めるためにQBHOUSEの門を叩きました。

「入社して1年ほどは、岡山・広島・京都・大阪など各地の人手の足りていない店舗で勤務していました。その後は2年ほど横浜の店舗の配属となり、当時の上司が推薦してくれてマネージャーになりました」

さらにマネージャーの就任直後には、社長から「香港でトレーナーをやってみないか」と声がかかります。河野さんは、海外での経験も必ず自分の身になるだろうと、香港への赴任を快諾しました。

「何でも挑戦してみようという意気込みで挑みました。海外で働くことに不安はなかったのですが、言葉が通じないこと、文化の違いを理解するのに苦労しましたね。例えば営業中なのに、お客様の席に座ってご飯を食べていたり(笑)。でもそれは文化の違いなんですよね。まずは相手を理解することから始めて、徐々にこちらのやり方に慣れてもらえるようにしました」

河野さんは現地のマネージャーたちの指導から始め、マネージャーからスタッフへと指示が伝わり、店舗全体の接客への意識が変わるように働きかけました。

「同時にマネージャー、店長に向けて技術指導も行いました。当然1,2回の指導で理解できるものではないので、ひたすら反復を繰り返して。完成度がみるみるうちに上がっていって、香港のスタッフに人が成長する素晴らしさを感じさせてもらえた時間でした」

およそ1年半後には高品質で早いカットに評判が高まり、香港で約30店舗まで拡大。香港でも確かな技術とサービスで、多くのお客様に選ばれるようになりました。

ニューヨークの立ち上げに参画

香港での仕事も軌道に乗り、6年が経とうとしていた頃。河野さんはニューヨークで店舗の立ち上げという、新たな挑戦に挑むことになります。

「QBHOUSEがニューヨークに進出するという話は聞いていたんですが、まさか自分に声がかかるとは思っていませんでした。2017年の6月にオープン直前に『半年間ぐらい、立ち上げを手伝ってくれないか』と言われて、気付いたらもう6年ですね(笑)」

スタッフを募集したところ、現地の理美容室で働いていた日本人からの応募が多く、今回は文化の違いで苦労をすることはなかったそうです。

しかし、多種多様な人種がいるニューヨーク。目の肥えたニューヨーカーたちの要望に応えるべく、スタッフのスキルをブラッシュアップさせることに尽力します。

「香港は暑いので、同じ長さで短くするスポーツ刈りのようなシンプルなスタイルの要望が多かったんですが、ニューヨークでは頭頂部に向けてグラデーションで長くしていくフェードカットなど、人ぞれぞれ要望が異なります。多毛なアジア人からクセの強い黒人まで人種も多様ですから、対応力が重要になります」

他店との差別化を図るため、バリカンの使い方やブローなしでも収まるようなカット方法などをきちんと伝え、時短で美しい仕上がりになるように、スタッフの技術力の向上を目指しました。

「QBHOUSEのカットが習得できれば、どんな人種もカットできる」と河野さん。ニューヨークで働いたことで、これまで以上にQBHOUSEの技術に誇りを持てるようになったそう。

「ものすごく大きなアフロの方が『短く、カッコよくして欲しい』って来店されたんです。短くフェードカットにさせてもらったんですが、とても喜んでくれて。多毛で髪が硬いアジア人でも縮毛の黒人でも、ハサミ一本で希望のスタイルにできるのは、QBHOUSEの技術があってこそだなと実感しました。とくにニューヨークは、技術者に対するリスペクトが強い街なのでいい時は絶賛されるし、ダメな時はNOと言われる。だからこそ、やりがいも大きいですね」

しかし、ニューヨークの店舗も軌道に乗り、「さぁこれからだ」という時にニューヨークでもコロナウイルスが流行。街はゴーストタウンのようになってしまいました。

「お客様が来れなくなって売り上げも激減し、これまで積み上げたものが一気に崩れたような気持ちになって、本当に辛かったです。でもスタッフが1人も辞めずに残ってくれて、できることからやりましょうと励ましてくれました。辛い経験ではありましたが、チームが一丸となるいい機会だったと考えています」

海外での経験を通じて、河野さんが今思うこと。それは、例え経験がなくても、怖がらずに挑戦することの大切さ。

「QBHOUSEで教わるカットの本質を理解すれば、人種関係なく対応できる。だから僕のように海外で働いてみたい方は、まず飛び込んでみて、そこからブラッシュアップしていけばいいと思うんです。これからはニューヨークだけでなく、北米の他の国でも出店できたらと考えています。海外の店舗を増やすことで、もっと日本の美容師が世界に挑戦できる土壌をつくっていきたいですね」

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