組織づくり ★コラム用北野社長 (3)

コロナウイルスの影響により、日本中、世界中の企業が大きな損失を受けました。QBHOUSEも例外ではありません。ようやく規制が緩和され、これからという時。QBHOUSEが最初の一手として取り組んだのは、従業員の待遇改善でした。2023年8月に平均7.4%の給与アップや、 労働時間の見直しなどを発表。

代表に就任以来、業績をあげる施策以外にも、従業員 の働き方、そして理美容業界の改革に取り組んできた北野泰男社長が見据える、QBHOUSEの在り方とは。

 

プロフィール
北野 泰男
1969年大阪府東大阪市生まれ。
株式会社日本債券信用銀行(現:あおぞら銀行)入行。2005年キュービーネット株式会社に入社。
経営企画室長、管理本部長を歴任し、2009年より現職。

 

コロナの影響で失った働きがい

手ごろな価格や短時間の10分カットが忙しい会社員に支持されているQBHOUSEは、ビジネス街や駅など人が多く行き交う場所に多く出店しています。コロナによる影響は大きく、以前の賑わいを取り戻すまで時間がかかりました。

「理美容は近距離で施術せざるを得ないサービスです。QBはフロアが狭い店舗が多いので、コロナ禍で客足が遠のきました。当たり前に過ごせていた日常が抑制されて不安だらけになり、ずっと家にいて働きがいもなくなり、大切な人と会う時間も奪われ、生きがいを見失った人たちもたくさんいると思います」

その不安感から今もまだ完全に抜け出せてはいないのではないかと、北野社長は言います。だからこそ、安心感を感じられる環境をつくりたいと。

「コロナがある程度落ち着いた今は攻めの経営をしようと思っていますが、まずは理容師、美容師の待遇改善を行い、心地よく前向きな気持ちで働ける環境を整えたいです。それが結果として、お客様にとってより良いサービスの提供に繋がります」

QBHOUSEで働くことで、やりがいを感じ、生きがいを見つけてほしい。この考えは社長に就任した2009年から持ち続けている想いです。

「創業期は歩合給だったので、切れば切るほど給料が上がることが働きがいだったと思います。しかし、今後企業が大きくなるには、働きやすい環境を整えていく必要があります。お客様に安定したサービスを提供するために、技術者が安心して長く働ける環境が欠かせません。その原資として、10分1000円だったカット料金を、2014年は1080円、2019年には1200円、そして2023年には1350円と値上げし、理容師、美容師に還元して働く環境の整備をしてきました」

しかし、今回の値上げに現場が両手をあげて賛成したかというと、そうではありませんでした。

「自分たちの待遇改善になるからと言って、すべてのスタッフが賛成したわけではありません。真剣にお客様のことを想うからこそ、現場に立つスタッフたちは毎回心配をしています。でも私としては、よりよい状況で長くサービスを提供し続けて企業が存続することも、お客様にとっての利益だと考えています。現に今回の値上げで利用を見送った人という方は、(出口調査をしましたが) ほとんどいらっしゃらない。それはこのサービスに値段以上の価値を感じてくださっている方がたくさんいらっしゃるからだと思うんです」

(「利用を見送った人がいない」調査の資料があれば追加/なければ、幹部と会議中の様子)

北野社長は代表となる前から、QBHOUSEのいちユーザーでした。だからこそ、短時間で質の高いカットをするQBHOUSEの技術に信頼があり、技術者へのリスペクトを強く抱いています。

 

技術者一人ひとりとの対話からつくる未来

北野社長は、社長就任直後から店舗へ足を運び、働く技術者との対話を続けてきました。労働環境の改善も、現場の声を拾い上げているからこそ。

「弊社には勤続20年を表彰する制度があるのですが、コロナ以降は私自身が各店舗へ赴き、表彰しています。理容師、美容師と1対1で話す中で、パートタイムで働く人たちの声を聞く機会がありました。パートは正社員と働く時間しか変わりません。同じパフォーマンスをしていただけるのであれば、準社員というポジションを設けるべきなのではと考える機会になりました」

他にもコロナ禍における生活の変化や、キャリアに対する希望など、技術者との対話でQBHOUSEに対するたくさんの要望や意見を得ているとのこと。

「うちには、20歳から76歳の理容師、美容師がいます。それぞれ働きやすさ、働きがいも様々です。自分が介護や育児で忙しくて働く時間が短い理容師、美容師がいたら、他のメンバーがサポートする。そういう繋がりをチームの中でつくることで、孤立をなくし、支え合うことができます。QBHOUSEが一つの大きなコミュニティと考え、長い人生を仲間と分かち合い、生きがいを作れる場でありたいんです」

QBHOUSEは業績アップだけを目的とする企業ではなく、「技術者としてお客様をカッコよく、キレイにしたい」という共通の想いを持つ人たちが集まったコミュニティだという、北野社長の強い想いが伝わってきました。

今後も、評価基準の設定、休暇や労働時間の見直し、子育て支援など、従業員の待遇改善に引き続き取り組む とのこと。こうした働く環境の改革は、自社の技術者の満足度を上げるだけでなく、理美容業界にも良い影響をもたらすのではないでしょうか。今後も、QBHOUSEから目が離せません。

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