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今回お話を伺ったのは、訪問美容師として活躍する宮田裕樹さん。色弱という目の特性を持つため、ヘアカラーができず、美容師を離職。しかし再度「美容の道に戻ろう」と、QBHOUSEに入社します。その1年後には、生まれ育った愛知県から東京へ移り、訪問理美容師となることを決意したそうです。

QBHOUSEの訪問理美容サービスは、介護の知識・技術研修を受けた専門のスタッフが、病院や介護施設を訪問。カットはもちろんのこと、希望に沿ってシャンプー・顔剃り・カラー・パーマなどを行います。それは店舗へ足を運ぶことが難しい方にも、すっきりとした清潔感やおしゃれを楽しみ、生きる喜びにもつなげてほしいという想いから。

宮田さんが、再び美容師の道を再び歩もうとした道のり、そして訪問美容師となった今、思うことをお聞きしました。

 

「誰かの役に立つための技術を取得したい」

訪問美容師 ・宮田裕樹さん

 

宮田さんが最初に美容師を志したのは、20代前半の頃。ある日、勤めていた会社から家に帰る途中で、美容室の前を通りがかりました。

「お客さんと話しながら楽しそうに仕事をしている美容師さんが目に入ったんです。仕事を改めて考え直す出来事もあって、思い切って美容師になろうと決意しました。しばらく会社に勤めながら、夜間で美容専門専門学校に通って免許を取得しました」

美容師として、新たなスタートをきった宮田さん。しかし、色弱という目の特性があり、白髪染めはできるものの、ファッションカラーの微妙な色までは認識できないことが判明。3年ほどで美容師を辞めることになります。そこからは10年ほど、車の整備士として勤めていました。

ところが今度は肺を悪くし、今度は整備士の仕事をやめなければならない状況に。新たに履歴書を作成している途中、自分が美容師免許を取得していたことを思い出しました。もう一度美容院で働いてみたい、そんな想いから再度美容室へ就職。

「やっぱりお客様に『ありがとう』っていってもらえた喜びが、心のどこかに残っていたんですよね。だからもう一度美容師を目指しましたが、やはり白髪染め以外のカラーもできないと美容師としてやっていくのは難しくて…。カラーをせずに美容師としてやっていく方法を探し、カット専門店のQBHOUSEにたどり着きました」

ロジスカットスクールを経て、念願の美容師として再スタートを切った宮田さん。しかしその頃から頭の中には「訪問美容師になりたい」という想いがありました。

「美容室で働いてるときに、高齢の方が長時間座るのをつらそうにしていて、気になっていたんです。自分も年を重ねてから美容師を再スタートしてることもあり、誰かの役に立つ技術を取得したいと思いました」

こうした想いから、ロジスカットの講習を受けながら、社外の講習会に積極的に参加。車いすのお客様の対応や、医療用ウィッグのカットなど、訪問美容に必要だと思うことを自ら選択し、学んでいました。そして入社から1年後、QBHOUSEの訪問美容師として活躍すべく、生まれ育った名古屋を離れて東京へと移住しました。

サロンカー(移動理美容車):バリアフリー、冷暖房完備、同時に最大4名までサービス可能な広い室内

 

現在は関東地区の病院や介護施設を中心に現場へ赴き、日々仕事に勤しんでいます。訪問美容のお客さまの中には、寝たきりの方や、病気で手足が硬直してしまい、動かせない方も。

「楽しくお話できる方もいれば、意思疎通ができない方もいらっしゃるので、なるべく相手の目を見て、意思を感じ取るようにしています。お話ができなかったとしても、アイコンタクトだったり、ジェスチャーで伝えたり。そうすると、首を縦にふったり、目を上下に動かして意思を伝えてくれる方もいて。カウンセリングでは、目の前に立ってその人が聞き取りやすい、理解しやすいような行動で確認をとることを大切にしています」

訪問美容では、寝た状態のお客様のカットする「ベッドカット」も行います。寝ている状態のお客様の頭を持ち上げたり、向きを変えてカットしていくため、集中力を必要とする難しい技術です。

「最初は先輩に頭を支えていただきながら、カットをしていました。最近では、横になってもらったり、片手で支えながら小型のバリカンを使って、一人でもカットできるようになりましたね。寝たきりの人は髪が絡んでる状態なので、カットする前に髪を整えることも大切です。絶対にお客様がけがをしないように、しんどい体勢が長く続かないように、気を配りながらカットをしています」

さまざまな状況下でカットするのは大変なときもあるけれど、「ベッドカット」ができるからこそ、感じることも多いといいます。

「一日中、何ヶ月も同じ部屋にいらっしゃる方もいます。そんなお客様にカットをしたとき『ありがとうね』って感謝されると、やっぱりやってよかったと思います。体が不自由なしんどさは伝わってくるので…。僕たちは理美容師なのでできることは限られているんですけど、お客様がすっきりして、精神的にもリラックスできて喜んでもらえたら、これ以上にうれしいことはないですね」

色弱や肺の病で、さまざまなことを諦めなくてはいけなかった宮田さん。しかし、訪問美容という新たな道を見つけ、活躍する場を得られました。だから「美容の力で、誰かの役に立ちたい」という想いを強く持っているのかもしれません。きっと今後も、お客様の「ありがとう」という言葉に背中を押され、訪問美容の現場で活躍し続けていくでしょう。

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