雑学・業界話題 28006085_s

2023年もそろそろ終わりに近づいてきました。2023年が理美容業界にとってどのような1年だったのか振り返っていきましょう。

1、アフターコロナで回復した消費行動。

2020年以降、新型コロナウイルス感染症により行動制限を強いられてきましたが、2023年5月にその位置づけが5類に移行しました。街を見ていても日常生活や消費行動について、平常時に近いマインドとなっている様子が伺えます。理美容業界においても例外ではありません。例えば総務省統計局の家計調査によると2023年7月〜9月の理美容サービス(※1)に使った金額は3029円となっており、前四半期比120円増、前年比200円アップとなっています。この同時期10年で最も高い金額となりました。一方、物価の値上がりが続き、理美容業の仕入れ価格も上昇しました。理美容室でもサービス料金の値上げという方向で進みましたので、(理美容サービスに使った金額のアップは)その影響もあるかもしれません。私たちQBハウスでも理美容師の働く環境の更なる向上、そして、今まで以上に人材育成に積極的に投資していく必要があると判断し、2023年4月1日より、カット料金を1,200円から1,350円(いずれも税込)に価格改定を行いました。

2、日本初の外国人美容師が採用される。

国家戦略特区(※2)の外国人美容師育成事業によって、2023年4月から外国人美容師の就労が可能となりました。そして、日本国内では初となる外国人美容師3名が都内のサロンに就職しました。その3名は日本の美容学校を卒業して日本の美容師免許を取得済みです。外国人美容師採用の目的は「日本式の美容に関する技術や文化を世界へ発信する担い手を育成する」ことで、恒久的な労働力の確保ではないようです。就労期間(特定美容活動の従事期間)は「通算5年以内」とされ、日本で身につけた技能を母国へ持ち帰り広めてもらうことを目指します。アフターコロナで訪日外国人観光客の増加も見込まれるなか、外国人美容師には大きな期待が寄せられています。

3、インボイス制度が10月からスタート。

インボイス制度とは「消費税の仕入税額控除の方式」の事をいいます。インボイス制度の目的は課税事業者、免税事業者ともに消費税を納付しない益税(※3)の発生を改善することです。制度開始後、一定の要件を満たした適格請求書(インボイス)がなければ仕入税額控除が適用されなくなりました。この適格請求書を発行できるのは、適格請求書発行事業者のみで、その事業者になるためには登録申請を行わなければなりません。なお、適格請求書発行事業者に登録できるのは消費税の課税事業者のみです。そのため、免税事業者(売上1000万円以下)が適格請求書発行事業者になる場合は、消費税の課税事業者となる必要があります。

4、ツーブロック禁止の中学、2023年度ゼロへ。

校則の中でも、生徒たちが納得できない不合理な校則「ブラック校則」。中でも頭髪に関して男子の「ツーブロック禁止」を校則とする中高等学校が多く、理美容業界でも話題になりました。文科省からの通達もあり、ブラック校則の見直しが進んでいます。中でも福岡市教育委員会は市内69校全てで「合理的説明ができない校則」をなくしたといいます。その一環として2023年度には「ツーブロック」の禁止は全てなくなりました。また女子の「ポニーテール」を禁止としていた学校もあったようですがそちらも廃止となったそうです。これから髪型をおしゃれにする中高校生がますます増えそうで

す。

5、数字で見る理美容業界。

最後に理・美容業界の数字を少し紹介しましょう。厚生労働省が2023年10月31日に発表した「令和4年度衛生行政報告例」によると、全国の施設数は理容所11万2468件、美容所26万9889件になります。理容所は減少傾向、美容所は増加し続けています。理・美容専門学校の新規入学者数については2022年度、理容981人、美容2万0,076人、2021年度がそれぞれ943人、2万0,003人とそれぞれ前年度を上回りました。(関連記事/2023年の理・美容業界 美容師ブーム到来か!?https://qb-recruit.com/column/post-7253/)

 

以上、5つの項目についてまとめて紹介しました。第一生命では、「大人になったらなりたいもの」ランキングを毎年調査し報告しています。2023年3月16日の報告で、小学生、中学生、高校生のそれぞれ女子の部門で「美容師/ヘアメイクアーティスト」が全て10位以内にランキングされています。前の年も同じように全て10位以内でしたので、人口減少、少子化の未来が待っていますが、理・美容業界にとっては嬉しい話題ですね。

2024年の理容業界・美容業界はどのような年になるでしょうね?!

 

(※1)総務省統計局「家計調査」収支項目分類表「10.1.1 理美容サービス」より。理美容サービスとは理容・美容に対するサービス(理髪料、パーマネント代、カット代など)、エステティックなどに関するもの
(※2)「世界で一番ビジネスをしやすい環境」を作ることを目的に、地域や分野を限定することで、大胆な規制・制度の緩和や税制面の優遇を行う規制改革制度です。
(※3)益税とは、消費者が事業者に支払った消費税の一部が納税されず、事業者の利益になってしまうことです。

 

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