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小児ガンの治療中の子どもやその家族を支援するために、2003年からシンガポールで開催されているチャリティーイベント「Hair for HOPE」。毎年、シンガポール・日本・台湾・香港のQBHOUSEからスタッフが参加し、ヘアカットというスキルでこの活動を支援しています。

治療中に髪が抜けてしまう子どもたちと同じ環境に立つために、参加者が髪を坊主にし、そのカット代を募金するという仕組みです。2023年7月にシンガポールの商業施設で開催されたイベントには、1717人が参加しました。

2023年は、日本から12名のスタッフが参加 。そのうちの1人が、イオンモール桑名・店長の大平忠さんです。大平さんがこのイベントに参加したのは、長年抱えてきた姉への想いからでした。Hair for HOPEに参加し、大平さんはどのようなことを感じたのか率直な意見をお聞きしました。

 

「笑顔で坊主になる姿に、心が揺さぶられた」

イオンモール桑名・店長 大平忠(おおひら ただし)さん

 

現在、イオンモール桑名で店長として活躍している大平忠(おおひら ただし)さん。20歳で地元山口の美容専門学校を卒業後、東京の美容室に就職しました。「東京の美容室に6年ほど勤め、実家の都合で山口に戻ることになりました。落ち着いてからは三重県の車関係の工場で派遣スタッフとして1年半ぐらい働いたのですが、自分のこれからの生き方を見つめたとき、やっぱり美容師をやりたいと思ったんです」しかし、大平さんの目に「赤緑色覚異常(せきりょくしきかくいじょう)」という色覚異常が見つかります。

「赤と緑の区別がつきづらい病気なので、ヘアカラーは難しい。それならばとカット専門店を探していたところ、QBHOUSEを見つけました。もともとカットが好きだったんですよね」

入社後はカットの技術を身につけ、お客様に接する中でやりがいを感じる日々を送っていました。そんなある日、社内報で目にしたのが「Hair for HOPE」でした。

「僕が生まれる前に、姉が白血病で亡くなっているんです。だからいつか、何らかの形で病気で苦しんでいる方たちに貢献したいと考えていました。Hair for HOPEを見て、これこそ自分が参加すべきことなんじゃないかと思ったんです」

QBHOUSEでキャリアを積む中で、Hair for HOPEへの参加の意思を持ち続けていた大平さん。長年の想いは、入社14年目にしてようやく叶いました。待ちに待ってようやく迎えた、Hair for HOPE 2023。現地で改めてHair for HOPEの趣旨や支援内容を聞いた時、心に浮かんだのはやはり姉のことでした。

「イベントによる収益や募金によって、医療費の援助以外にも病児の教育サポートやその家族に対するメンタルケアなど手厚いサポートが受けられることに感動しました。同時に、姉が生きていた頃にもHair for HOPEのような取り組みがあったらよかったのに、という気持ちも込み上げてきました」

少しの緊張と期待が入り混じった気持ちで迎えたHair for HOPEは、Vivo Cityという商業施設の広場にある特設ステージで開催され、大平さんもたくさんの人をカットしました。

「10歳ぐらいの男の子が椅子に座って、僕に何か話しかけてくれたんです。通訳の方に聞いたら『このイベントのために半年ぐらい髪を伸ばした』って。小学校の子がイベントの趣旨を理解して、しかも何ヶ月も前から準備をする、その姿に感動しました。坊主頭を触りながら、お父さんと一緒に笑顔で帰っていく姿が今でも目に焼き付いています」

Hair for HOPEに参加したことで、大平さんの中に大きな変化が芽生えたと言います。

「私たちは、普段技術を提供してお給料もらうという利己的な働き方をしています。でもボランティアは、『病気に苦しむ子どもたち」のために仕事をする。“誰かのため”に動くことの素晴らしさを身をもって感じられたんです。あぁ、良いことをすると自分が幸せになれるんだって」

そして、Hair for HOPEに参加したことで、45年前に大切な我が子を亡くした母の気持ちに寄り添えた部分もあったと言います。

「小児がんを患った当事者の気持ちはわからないですけど、母の姿を見てきて、その家族の気持ちはわかっているつもりです。どう言い表せばいいかわからないですが…今回のイベントに参加することで間接的に母の悲しみに寄り添えたような…そんな気持ちになったんです」

Hair for HOPEの話をした際、大平さんのお母さんは大変喜んだそう。

「僕がずっと姉のことを忘れずにいたことが、嬉しかったんじゃないかな。涙を流しながら喜んでくれました。そんな家族の想いもあったから、Hair for HOPEが終わったときは感極まって涙を流してしまいました」

長年抱え続けてきた姉への、そして母への想い。Hair for HOPEに参加した今だからこそ、大平さんが感じていることとは。

「カットが終わると、みんなが笑顔で『Thank you so much!!』って言ってくれて、握手やハグをしてくれるんですよ。小児がんの子どもたちを助けたい、支援したいという一つの目的のためにお金を払って坊主になる。僕らも同じ気持ちでバリカンを入れる。『誰かのために』が連続して起こる場に身を置くことによって、心の底の部分から利他的に生きる幸せを感じられたんだと思います」

今はその気持ちを持って自分が行動することで、どんな連鎖が生まれるのか。そんな気持ちで日々仕事に向かっているという大平さん。

「実は僕もHair for HOPEの参加者になり、坊主にしてもらったんですね。うちの子どもたちはそれを見て面白がっていますよ。お客さまからも『なんで坊主なん?』って聞かれるので、Hair for HOPEについてお話するいい機会になっています。僕の姿を見てくれた人が笑顔になってくれて、なんだかちょっと坊主頭が誇らしいですね(笑)」

初めは「姉のために」、そして「病児のために」。でも結局、良いことをすると自分が幸せになれるんだと気づいたという大平さん。これからもその想いを持ち、ハサミの力で誰かを、そして自分を幸せにし続けていくのではないでしょうか。

(こちらの動画も是非ご覧ください。)

 

 

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